はじめに
「なんでこんなにしんどいんやろ…」「私、向いてないんかな…」
看護師として働いていると、そんなふうに感じる瞬間が誰にでもあると思います。命を預かる責任感、チームとの連携、患者さんとの関わり、そして終わらない業務。心も体も消耗する中で、ふとした瞬間に「もう無理かも…」と思うこともあるでしょう。
実は、そんな看護師の“しんどさ”には、共通する「思考のクセ」があります。
そのクセを知らずに放っておくと、自分で自分を苦しめてしまうことに…。
この記事では、そんな「看護師が陥りがちなNG思考」を3つに分けて紹介し、それぞれの思考をどう手放していくか、そのヒントもあわせて解説します。
1. 「○○すべき」思考に縛られていませんか?
「先輩に言われる前に気づくべきだった…」
「ナースはもっとしっかりしているべき」
「申し送りは完璧にすべき」
このように、“べき”で終わる言葉が頭の中に多くないですか?
この「べき思考」は一見、向上心のように見えますが、実は自分に対する【過度なプレッシャー】を生み出します。しかも、その“基準”が自分の中ではなく「他人の目」や「理想像」によってつくられていることがほとんど。
🔻この思考がもたらすもの
- 小さなミスが許せなくなる
- 他人の評価に過敏になる
- 自己否定感が増す
- 慢性的なストレス状態になる
✅ 今日からできる対処法
「○○すべき」ではなく、「○○できたらいいな」と言い換えてみましょう。
例:
「記録は完璧にすべき」→「ミスを減らすために丁寧に書けたらいいな」
少しでも“ゆとり”を持てる表現に変えるだけで、心の中に余白が生まれます。
看護の仕事はチームでやるもの。完璧じゃなくていい、丁寧に積み重ねることが大事です。
2. 他人と比較しすぎていませんか?
「なんであの人はあんなに早く記録が書けるの?」
「同期なのに、私は全然ダメだ…」
「先輩に褒められてるの、羨ましい」
職場ではどうしても、自分と他人の違いが見えてしまいます。
でも、それを「自分のダメさ」と結びつけていませんか?
人にはそれぞれ、得意なことと不得意なこと、学びのペース、育ってきた環境も違います。比較は“自分を伸ばす材料”ではなく、“自信を削る刃”になってしまうことも。
🔻この思考がもたらすもの
- 自己肯定感の低下
- 他人への嫉妬や苛立ち
- チームとの距離感ができる
- やる気の低下や無力感
✅ 今日からできる対処法
比べるなら「他人」ではなく「昨日の自分」。
昨日より少し丁寧に関われた。
昨日より落ち着いて対応できた。
昨日より1回多く笑えた。
そんなふうに、自分だけの「成長スケール」を持つことで、前向きな視点が育っていきます。
3. 悩みを一人で抱え込んでいませんか?
「どうせ言っても分かってもらえない」
「自分が我慢すればいいだけ」
「こんなことで相談してもいいのかな」
そんなふうに思って、苦しい気持ちを“自分の中に押し込める”クセ、ありませんか?
真面目で責任感の強い人ほど、誰にも頼らず頑張ろうとします。でも、人は一人で働いているわけじゃない。看護の仕事も人生も、支え合いながら進むものです。
🔻この思考がもたらすもの
- 感情の抑圧
- 身体的な不調(頭痛・胃痛・睡眠障害など)
- 突然の限界(バーンアウト)
- 孤立感や無力感
✅ 今日からできる対処法
「話すだけで、8割はラクになる」って知っていますか?
悩みやモヤモヤを誰かに話すだけで、自分の中の整理がつき、気持ちが軽くなることがあります。
上司でなくてもOK。信頼できる先輩、同期、友人、場合によっては専門の相談機関でも。
「弱音を吐く=悪いこと」ではありません。
「助けを求める=勇気ある選択」だと考えてください。
おわりに|看護師として「自分を守る」考え方を
看護師という仕事は、尊くて、人を支える力がある反面、自分自身が傷ついてしまうこともあります。
だからこそ、「どう考えるか」はとても大切。
- 完璧じゃなくていい
- 比べなくていい
- 一人で抱えなくていい
これらを意識することで、自分の心と体を守りながら、もっと自由に、もっと楽しく看護師として働けるようになります。
もし今、「なんか最近つらいな」「もう限界かも」と感じているなら、
それはあなたが弱いんじゃない。
一生懸命すぎるだけです。
その頑張りに、少しだけ“優しさ”を加えてあげてください。
あなたの看護には、ちゃんと価値があります。
そして、あなた自身にも。
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