〜辞め方ひとつで次のキャリアが変わる〜
はじめに:なぜ「円満退職」が大切なのか?
看護師として働いていると、「もう辞めたい」「転職したい」と思う瞬間は誰にでもあります。
夜勤続きで体力的に限界を感じたり、人間関係がつらかったり、結婚・出産などライフステージの変化で働き方を見直したいと考える人も多いでしょう。
実際、看護師の離職率は一般企業よりも高く、常に「転職」は身近な選択肢です。
しかし、転職を成功させるうえで意外と見落とされがちなのが「退職の仕方」です。
退職はゴールではなく、新しいスタートへの通過点。辞め方次第で、
- 次の職場への印象や評価
- 前の職場との人間関係
- 将来のキャリアの可能性
これらに大きな影響を与えます。
医療業界は狭く、いつどこで前の上司や同僚と再会するかわかりません。だからこそ、円満退職は「未来への投資」だと言えます。
ステップ①:まずは「本当に辞めるべきか」を整理する
退職の第一歩は、感情のまま「辞めたい!」と動くのではなく、冷静に自分の気持ちを整理することです。
自己分析のポイント
- 辞めたい理由は何か?(人間関係・体力的負担・給与・家庭事情など)
- その問題は「転職しなくても解決できる」ことではないか?
- 転職することで解決する可能性はあるか?
たとえば、「夜勤がつらい」と感じている場合、夜勤なしの外来やクリニックに転職するのは解決策になりますが、単に「部署異動」で解決できる場合もあります。
感情と事実を切り分けて考えることが大切です。
ステップ②:退職の時期を見極める
辞めると決めたら、次は「いつ辞めるか」を考えます。
看護師ならではの注意点
- 看護師は人員不足が慢性化しているため、急な退職はトラブルになりやすい
- シフトの関係上、最低でも2〜3か月前には申し出るのがマナー
- 繁忙期(年度末、年度初め、夏の長期休暇前など)は避けると好印象
もし可能であれば「新人看護師がある程度育ったタイミング」や「シフトの区切りの月」などに合わせると、残るスタッフの負担を最小限にできます。
ステップ③:まずは直属の上司に相談する
退職の意思を固めたら、いきなり退職届を出すのではなく、直属の看護師長に相談することが鉄則です。
相談の切り出し方
- 「少しご相談したいことがあるのですが…」とアポイントをとる
- 落ち着いて話せる時間(勤務後や日勤終了後など)を選ぶ
- 伝えるときは「退職したい」より「転職を考えていて…」と相談ベースで
上司が理解者になってくれれば、その後の手続きが格段にスムーズになります。
ステップ④:退職理由を伝えるときのコツ
退職理由はできるだけ前向きに表現することが大切です。
NGな伝え方
- 「人間関係が最悪だから辞めます」
- 「給料が安すぎるので転職します」
これでは角が立ちますし、「引き止められる」「悪口を言っている」と誤解される可能性があります。
OKな伝え方(言い換え例)
- 「ライフスタイルに合った働き方をしたい」
- 「スキルアップのために別の診療科に挑戦したい」
- 「夜勤のない職場で働きたい」
ネガティブな理由も「前向きな目的」に変換するだけで印象が大きく変わります。
ステップ⑤:退職届と書類手続き
退職の意思が正式に認められたら、退職届の提出が必要です。
退職届の基本
- 書き方はシンプルでOK
- 「私事、このたび一身上の都合により○月○日をもって退職いたします」
- 提出先は病院によって異なるが、一般的には「看護師長 → 事務長 → 院長」
忘れずに確認すべき手続き
- 健康保険(任意継続 or 国保切替)
- 年金(厚生年金 → 国民年金)
- 雇用保険(失業保険の受給条件確認)
- 源泉徴収票(次の職場や確定申告に必要)
事務手続きは意外と多いので、退職が決まったらチェックリスト化しておくと安心です。
ステップ⑥:引き継ぎを丁寧にする
退職する看護師にとって、引き継ぎは最大の最後の仕事です。
引き継ぎ内容の例
- 担当患者の情報(疾患・ケアの注意点・家族背景など)
- 病棟業務の流れ(検査準備・ルーチン業務など)
- トラブル対応マニュアル(急変時の対応・連絡ルートなど)
口頭だけでなく、メモやファイルで残すと親切です。
「この人が辞めても大丈夫」と思われることで、最後まで信頼される看護師でいられます。
ステップ⑦:感謝の気持ちを伝える
退職間際は慌ただしいですが、必ず「お世話になりました」と伝える時間を作りましょう。
感謝の伝え方
- 病棟の全員にまとめて挨拶
- 特に指導してくれた先輩には個別にお礼
- プチギフト(お菓子など)を渡すのも好印象
逆に、退職直前に愚痴や悪口を言ってしまうと、最後の印象が台無しになります。
ステップ⑧:退職後のつながりを大事にする
退職したら終わり、ではありません。医療業界は思った以上に狭く、いつどこで再会するか分からないのです。
- 前の職場の同僚が、次の職場の同僚になることもある
- 学会や勉強会で顔を合わせることもある
- SNSでつながっている人から情報が広まることもある
だからこそ、円満退職をしておくと、将来のキャリアにもプラスになります。
円満退職チェックリスト
最後に、円満退職のためにやるべきことをチェックリストでまとめます。
✅ 辞めたい理由を整理した
✅ 退職の時期を決めた
✅ 看護師長に相談した
✅ 前向きな理由で伝えた
✅ 退職届を提出した
✅ 社会保険や年金の手続きを確認した
✅ 引き継ぎ資料を作成した
✅ 感謝の気持ちを伝えた
✅ 悪口を言わずに辞めた
✅ 退職後もつながりを大切にしている
まとめ
看護師にとって転職は珍しいことではありません。
しかし、辞め方を間違えるとせっかくの新しいスタートが台無しになってしまう可能性があります。
円満退職のポイントは、
- 前向きな理由で伝える
- 引き継ぎを丁寧にする
- 感謝を忘れない
この3つです。
「去り際が美しい人」は、次の職場でも必ず信頼されます。
そして、あなたのキャリアはより良い方向へと進んでいくはずです。
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